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ドローン法規制|第6章 直接目視監視と目視外飛行

更新日:2020年1月24日

ドローン空撮をする上で絶対と言っていいほど必要となる飛行方法が目視外飛行。

しかし航空法には、

 

当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。(航空法第132条の2 第6号)

 

こう書かれてしまっています。

目視外飛行できないとなると、ドローンの利用価値の9割以上を殺してしまうくらいなので、この法規制は稀代の悪法と言っても過言ではありません。

ただ、世界的に見ても目視外飛行は規制の対象となっているので、日本だけが…という訳ではありません。



機体及びその周辺を直接目視により常時監視する

機体の常時目視監視と言うことで、以下の飛行形態全てが直接目視監視の定義から外れます。

遥か遠方


操縦者から遠く離れた場所への⾶⾏です。操縦者個々の視⼒にもより距離は変わりますが、⽬安としては、機体が向いている⽅向が判別できなくなる、シグナルアラートが認識できなくなる距離に⾶んで⾏く場合は⽬視外⾶⾏にあたります。双眼鏡などを使⽤しての監視は認められません。機体の監視だけではなく、その周辺環境変化の監視も必要です。



操縦者の視界外


距離が近くても、操縦者の視界から出てしまう⾶⾏です。趣味の⾶⾏で空撮をしていると、⻑距離を⾶ぶことよりも近場で⾃⾝の周りを⾶⾏さることの⽅が多くなりがちです。

機体が近くを⾶んでいるのでローターが回る⾳は聞こえており、慣れてくると⾳量と⾳のする⽅向でおおよその位置を特定できるようになってきますが、あくまで⽬視による監視が前提です。


物の裏側

障害物の裏側に回り込む⾶⾏です。この場合BVLOS(⽬視⾒通し外)に加えてBRLOS(直接電波⾒通し外)にあたるため、無線操縦であることを鑑みると、本来は避けるべき⾶⾏⽅法です。無⼈航空機で多く使⽤されている2.4GHz帯の電波は、障害物を回り込む特性はあまりありません。通信障害の可能性が⾼くなる⾶⾏形態です。



モニターを注視したりFPVゴーグルを使用

機載カメラで撮影した映像を送信機に取り付けたモニターやゴーグルに伝送し、機体⽬線の景⾊を楽しむ⾶ばし⽅をFPV(First Person View)と⾔います。FPV⾶⾏はライブビューを注視しながら⾶⾏させるので、機体を監視していないことになります。よって、⽬

視外⾶⾏の承認が必要な⾶ばし⽅と⾔うこと

です。

機載カメラからのライブビューの画質や伝送品質は年々向上しています。これにより、FPV⾶⾏の安全性は向上し⾶⾏難度は下がりましたが、カメラセンサーを⽤いて障害物検知・回避機能も搭載されました。 しかし、機器の性能向上が事故を減らすことには繋がらず、⾼性能が故にユーザーの無理な⾶⾏を起因にする事故が現在でも多発しています。

⽬視外⾶⾏は、モニターに表⽰されるライブビューを⾒ながら⾶ばします。

視野が⼤きく制限されるので、画⾯下部に表⽰されている距離や⾼度、GPSマップ等の情報も参考に、機体の現在地を常に意識する事を⼼がけましょう。


死角の範囲と目視監視の重要度

機載カメラからの伝送映像は、機体周辺の状況を確認するのに⼗分な画質を有していますが、モニターに表⽰されるライブビューはカメラの画⾓に相当する視野しかありません。


FOV(⽔平画⾓)が80度であれば、残りの280度は⾒えていません。死⾓が圧倒的多数です。

デュアルカメラセンサーや⾚外線センサーによる障害物検知、GPS マップ表⽰、⾼度操縦⽀援機能等、操縦サポート機能が充実しており、これらを活⽤することも⽬視外⾶⾏を⾏う場合の機体現在地の把握、障害物への接触回避に有効です。しかし、これらはあくまで電⼦的

な「補助」であり、絶対の信頼を置けるものではありません。


法令でも「機体及びその周辺環境の確認は、操縦者本⼈が直接⽬視で⾏うこと。」とされています。稀代の悪法とは言いましたが、ドローン任せの無理な⾶⾏は、本来避けるべきです。


ライブビューの品質を確保

映像を撮影するために搭載されているカメラですが、⽬視外⾶⾏をする上で、メインカメラからのライブビュー映像は、機体の周辺環境を確認するための「⽬」としての役割も持っています。


電波環境が悪いと、ライブビュー映像の伝送品質も悪化します。⻑距離⾶⾏を⾏っている場合の伝送エラーは致命的で、周辺確認をする術を失うことに繋がるので、離陸前に電波環境の確認が必要です。DJI製品の場合は、アプリの画像転送設定メニューに⼊ると、信号⼲渉強度がグラフ化されて表⽰されているので、それを参考にするのも良いでしょう。同時に、ノイズの多い周波数帯を選んでいないかの確認もできます。

ライブビュー伝送品質回復のコツ

使⽤周波数を変更しても、ライブビューの乱れが解消されない場合は、1mくらい操作場所を移動してみましょう。劇的にノイズが改善する場合があります。筆者の経験談ですが…


モニターを⾒ての⽬視外⾶⾏は、クリアなライブビュー映像の確保が不可⽋です。事前に電波環境や、電⼦的障害物は確認できますので、忘れずに⾏いましょう。

遠⽅へ⾶⾏させている場合は伝送映像画質やビットレートの変更も有効な⼿段です。



目視外飛行も承認があれば実施可能だが…

目視外飛行も国土交通大臣の承認があれば、その承認の範囲内で目視外飛行を実施することができますが、目視監視者の配置や人口集中地区での目視外飛行は承認項目から除外されるなど、あまり意味のない承認制度になっています。


業務レベルの空撮を行うには、指揮系統が煩雑になる目視監視者や飛行場所の制限を解除するための申請が必要で、それを通すためには飛行実績の積み重ねが重要です。


 

筆者プロフィール

藤永優 【ドローングラファー】

専門:舶上空撮、ドローン法規

映像制作からダムや橋梁などのインフラ保守まで、自動操縦では真似のできない攻めの姿勢のフライトかつ、要望された映像は、法に触れないギリギリラインまで突き詰め形にするのが信条。

 




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