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ドローン法規制|第9章 包括飛行許可承認の落とし穴

第8章までに取り上げたそれぞれの法規制は、ドローンで空撮をしようとした時に、覚えておくべき法律です。


航空法により禁止されている行為の内、一部の飛行形態では国土交通省航空局に対して申請を行い、飛行禁止場所での飛行許可、航空法規制に依らない飛行方法の承認を得る事により、禁止行為に当たる飛行であっても実施する事ができます。


違法行為は罰せられるのはドローンも同じ

もちろん、飛行許可・承認を得ずに飛行禁止空域でドローンを飛ばしたり、禁止された方法でドローンを飛ばした場合は、航空法の罰則規定により30万円以下〜100万円以下の罰金、あるいは1年以下の懲役に処されます。


刑罰が確定するのは、裁判の判決が出てからですが、カルロス・ゴーン氏の開廷前国外逃亡の影響で、今巷で盛り上がってる通り、日本の刑事裁判は99%以上の確率で有罪にされるので、航空法違反で起訴された場合は諦めて刑に服するしかありません。


2015年12月10日に初めてドローン規制ができた訳ではない

巷でドローンと呼ばれているのは、基本的にプロペラが4つ付いたカメラ付きのラジコンです。


2015年末の航空法改正で、初めてドローンに対する法規制が為されたと思っている人が多いでしょう。


しかし、実際には当時の航空法第99条の2で模型航空機による「航空機の飛行を妨害する恐れのある行為」として「航空法第49条、第56条の3で定められた制限空域での飛行禁止、と飛行可能高度制限を定めていました。


これは、ラジコン飛行機やヘリ、アドバルーンの設置に対して、航空法で制限を設けていました。


2015年12月10日に行われたのは、「無人航空機」の定義付けとこれに対する飛行場所や飛行方法の規制が行われただけです。


包括飛行許可とは

行政の許認可制度の中で、継続して同様の許可を必要とする場合、同じ許可を複数の場所で必要とする場合に発行される許可書が包括許可です。

工事関係の仕事をしている方なら、馴染みがあるかと思います。


ドローンに関する許認可は、飛行場所と飛行方法に対して出されます。

包括飛行許可承認制度も、他の許認可同様に運用されています。


許可または承認されている内容は?

飛行許可・承認申請を行う際、飛行マニュアルの添付を求められます。

多くの申請者が、国土交通省が発行している航空局基準マニュアルを用いて申請をしていると思いますが、その場合、許可されているのはこの基準マニュアル(包括申請の場合は航空局基準マニュアル②)に書かれた飛ばし方のみです。


ドローンの包括飛行許可承認は、飛行場所と時期を限定せずに自由に飛行させる性質上、得られる許認可には厳しい制約が設けられています。


意外と「読んだこと無い。」という人が多いと思いますが、一度全文目を通して、何が書枯れているのか、このマニュアルを用いた場合、どんな飛ばし方ができるのかを理解しておく必要があります。



航空局基準マニュアル②に書かれている無人航空機の飛行形態

「包括飛行許可・承認書を持っていればどんな飛ばし方もできる」と言うような万能許可書ではありません。どちらかと言うと許可書は無人航空機の飛行に制約を設けて仕方なしに、飛行禁止区域や禁止されている方法での飛行の実施を認めていると言うのが、国土交通省校区局の目線から見た現在の飛行許可承認制度です。


右の飛行許可・承認書は、許可及び承認事項に記載のあるように、人口集中地区内での飛行許可と、夜間飛行、目視外飛行、第三者接近の承認の4項目を含めた、包括許可・承認書です。

この許可書の効力で実施できる飛行は上記4項目の飛行ですが、申請には航空局基準マニュアル②を使用しているため人口集中地区内での第三者接近飛行以外、各規制項目が重複するフライトは認められていません。

要するに、

  • 人口集中地区内で夜間飛行を行う。

  • 人口集中地区内で目視外飛行を行う。

  • 人口集中地区内で夜間に目視外飛行を行う。

  • 夜間に目視外飛行を行う。

これらの形態での飛行は、航空局基準マニュアル②の包括許可・承認ではできないと言うことになります。


認可外形態での飛行も違反行為

無許可飛行はもちろん犯罪ですが、許可あるいは承認されている飛行形態から逸脱しての飛行も違法行為にあたります。

包括許可を取得して、無敵になったと勘違いしている人は少なくないと思いますが、本気で取締りをされた場合は、「許認可範囲逸脱」も無許可飛行として検挙立件することができます。


これは、プロのドローン空撮屋でも見落としている事柄で、人口集中地区内での目視外飛行なんかは恐らく、承認外飛行を犯しているドローンオペレーターが少なからずいる筈です。

とりあえず、航空局基準マニュアルを使って申請した包括飛行許可・承認書を持っていることを売りにするオペレーターは危険な可能性が高いと言うことです。

それなりの額面を提示する空撮業社は、許認可の限定対策を講じている可能性は高いですが。



趣味目的の包括飛行許可は申請できない

よって、趣味目的の飛行に対して出された包括許可書は存在しないと言うことになります。

しかし、「趣味でドローンを飛ばすために年間包括許可を取りました。」なんて人がたまにいますが…

あなたそれ業務目的で申請してないですか?

細かいこと言うと、これは虚偽申請にあたります。


この辺りはザル法なので、ちょっと考えれば抜け道はいくらでもありますが、純粋に趣味で空撮を楽しむ目的で無人航空機を飛行させるために、飛行場所を特定しない飛行許可は取ることはできないことになっています。が、、、


これは、申請書の審査をしている航空局に問題があるのですが、どう考えても趣味レベルだろうと思われる飛行場所を特定しない飛行許可申請でも、通してしまっているのが現実です。

筆者の周りにも実際に居ます。


実際は申請する側のリテラシーとコンプライアンス意識が低いことが問題ですが、何でもかんでも形式的に、机の上で決めた安全対策だけクリアしていれば申請を通してしまう航空局の審査体制も明らかな問題でしょう。


趣味目的の飛行の場合、飛行場所を特定しない包括飛行許可は申請できませんが、飛行範囲や経路を特定すれば、その場所で1年間有効の許可を得ることができます。


空撮事業をするなら「包括許可承認取得」は売り文句にならない

包括飛行許可承認では人口集中地区内での目視外飛行ができないため、申請の段階で飛行条件の限定を解除する必要があります。

飛行時間や目視外飛行経歴が十分であれば、飛行申請の段階である程度限定解除を申請することはできますが、やはり飛行場所を特定しない申請を行う場合は制約が残ります。


国土交通省の無人航空機関連の行政施行方針は、「飛行毎に許可を取れ。」と言うのが本音です。


飛行経路や範囲を特定した申請であれば、人口集中地区での目視外飛行や夜間飛行などの許可承認を得ることができます。



 

筆者プロフィール

藤永優 【ドローングラファー】

専門:舶上空撮、ドローン法規

映像制作からダムや橋梁などのインフラ保守まで、自動操縦では真似のできない攻めの姿勢のフライトかつ、要望された映像は、法に触れないギリギリラインまで突き詰め形にするのが信条。

 

第10章 催し会場上空とその付近




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